「組込みシステム産業振興機構」
設立趣意書
関西を組込みソフト産業の一大集積地とすべく、2007年8月に産学官連携 組織『組込みソフト産業推進会議』を設立し、組込みソフト産業の活性化・ 発展に資する諸課題の抽出とそれぞれの対応方策についての調査・検討を 行うことにより、教育事業、開発支援事業において、今後の事業の方向性を 導き出すことができた。
教育事業では、組込みソフト技術者の不足に対応するため、大学の最先端 の研究や企業の現場におけるノウハウ、官の持つリソースを結集し、「組込み 適塾」や「指導者育成研修」などの技術者育成プログラムのスキームを確立し、 多くの人材を輩出した。さらに、ブリッジ人材の育成・活用などアジア各国との 連携方策について提言した。
また、開発支援事業では、組込みソフト開発の品質向上や受発注機会の 拡大のための受発注ガイドラインの策定や開発支援ツール利用環境の確立、 連携検証施設「さつき」の誘致・活用、企業の技術力の見える化に役立つ 「ETSS-KANSAI」を策定した。
そして、これら事業は、企業単独では取り組むことが難しい課題であり、共通 的に実施する意義を確認した。
今後は、産業活性化につながる具体的な事業を直ちに実行するとともに、 多様な会員ニーズに応えていく機動的な事業運営体制の確立が必要である。 さらには、今後、組込みソフトウェアの領域拡大が見込まれる環境、医療、 FA 制御、自動車などの分野に対応するとともに、ソフトウェアだけでなくハード ウェアを含めた組込みシステムとして取り組んでいかなければならない。
そして、地域主権の実現を見据え、関西が自立的に発展していくためにも、 地域の特徴を活かした産業の芽を大きく育てていくことが欠かせない。幸い にも関西には、大手家電メーカー、中小ものづくり企業、優秀な大学や教育・ 研究機関に加え、次世代を担う環境・エネルギー分野の企業が多数存在して おり、組込みシステム産業を振興・発展させるポテンシャルが現存している。
ここに、3年間の活動成果をさらに深化・発展させ、実効ある事業運営基盤 を実現し、真に関西を組込みシステム産業の一大集積地とするための産学官 協働プラットフォームである『組込みシステム産業振興機構』を設立すること としたい。
組込みソフト産業推進会議 会長
宮原 秀夫