講義概要
ソフトウェア品質データの分析により、品質に影響する要因を明らかにし、改善効果を定量的に把握できるようになる。これは、組織のソフトウェア品質マネジメント能力を高めるために有効な手段である。本講義では、ソフトウェア品質にかかわるメトリクスと、その可視化・分析手法を解説する。品質データの読み解き方や、それに基づく対策の立て方など、実践的な内容を扱う。
講師
- 所属
- 東洋大学
- 講師名
- 野中 誠
品質データ分析を中心としたソフトウェア品質マネジメントに関する研究に従事。日本科学技術連盟ソフトウェア品質委員会(SQiP)運営委員長、IPA/SEC高信頼性定量化部会主査(『ソフトウェア開発データ白書』等を発行)、情報処理学会ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2016プログラム委員長など、産学の交わる場で活動。
講義内容
- ソフトウェア品質マネジメント概論
- 品質には「ねらい」と「できばえ」の品質がある。品質マネジメントとは、品質のよい製品・サービスを提供するために組織を指揮し、管理することである。これらはソフトウェア品質マネジメントの根幹である。ここでは、そもそも品質マネジメントとは何かについて、幅広い観点から体系的に整理する。
- ソフトウェア品質の定量的管理:プロセスメトリクスを中心とした「できばえの品質」へのアプローチ
- テストプロセスの状況把握、レビューの有効性評価、プロジェクトの事後分析などに利用されるプロセスメトリクスについて、それらの意味、活用方法、留意点などを演習を交えて解説する。
- ソフトウェア品質の定量的管理:プロダクトメトリクスを中心とした「できばえの品質」へのアプローチ
- ソフトウェアの複雑度、結合度、凝集度などのプロダクトメトリクスについて、それらの意味、活用方法、留意点などを演習を交えて解説する。
- ソフトウェア品質の定量的把握:「ねらいの品質」へのアプローチ
- ソフトウェア品質への要求水準をどのような指標で定義し、把握するのかについて、SQuaRE(ISO/IEC 25000シリーズ)のモデルに基づきながら解説する。
- ソフトウェア品質マネジメントに関する発展的議論
- 学術研究の動向などを紹介しながら、本講義で扱ったトピックの発展的な課題について議論する。
受講要件
- 【受講要件】
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- ・要件定義からテストに至るソフトウェア開発プロセスの全体について概要を理解している(経験有無を問わず)。
- ・ソフトウェアの設計、プログラミング、およびテストについて、基本情報技術者試験程度の知識を有している。
- 【事前学習のポイント】
- ・品質データ分析を通じて得られた知見に基づき、品質改善のためのアクション(施策)をいかに立案するか。
- ・プロジェクトレベルで適用する施策だけでなく、組織レベルで適用する施策をいかに考え、展開していくか。
教科書
講義2週間前に電子ファイル送付(事前学習を推奨)講義に関連する解説記事・参考文献・図書等
野中誠(2014)「ソフトウェア品質データ分析を通じた組織的改善の促進」ソフトウェアジャパン2014講演資料資料:https://www.ipa.go.jp/files/000036714.pdf
講演動画:https://www.youtube.com/watch?v=IU7cqPHUuEY