講義概要
組込みシステムの多くは時間制約の厳しいハードリアルタイムシステムであり,応答時間の予測がしやすい周期的処理を用いた時間駆動アーキテクチャが適している。本講義では,理論的基礎である周期タスクのスケジューリングから,現実のシステムを対象とした時間駆動に基づくオブジェクト指向設計・実装法までを解説する。講師
- 所属
- 東京都市大学
- 講師名
- 横山孝典
東京都市大学情報工学部情報科学科にて,組込みシステムを対象としたリアルタイムオペレーティングシステム,分散処理環境,ソフトウェア開発環境等の研究に従事。(株)日立製作所日立研究所にて組込みソフトウェアの研究開発に従事した後,同社自動車機器グループ(当時)にて製品開発にも従事した経歴を持つ。
講義内容
本講義では,ハードリアルタイムシステム向けの時間駆動に基づくソフトウェア設計法について解説する。具体的には,リアルタイムシステムの分類,時間駆動とイベント駆動の違い,スケジューリング理論,時間駆動向けオペレーティングシステム,時間駆動に基づくオブジェクト指向ソフトウェアの設計および実装方法について講義する。また,講義内容について理解を深めるための演習課題を課す。- (1) リアルタイムシステムとは・・・ハードリアルタイムシステムとソフトリアルタイムシステム
- (2) 時間駆動とイベント駆動・・・リアルタイムシステム向け処理方式
- (3) スケジューリング理論・・・周期タスク,RMスケジューリング,EDFスケジューリング
- (4) 時間駆動向けオペレーティングシステム・・・周期タスクの実現方法
- (5) 時間駆動オブジェクトモデル・・・時間駆動システム向けオブジェクト指向ソフトウェア
- (6) 時間駆動オブジェクト設計法 ・・・ オブジェクトの抽出と詳細設計
- (7) 時間駆動オブジェクト実装法・・・資源消費量を抑えた実装
受講要件
- 【受講要件】
-
- マルチタスク処理やUMLに関する基礎的知識を有しているか,本コースの関連するベース科目を一緒に履修するのが望ましい。
- 【事前学習のポイント】
-
- リアルタイムシステムにおける周期的な処理の特徴を理解しておくと,講義の理解が容易になる。。
受講にあたって必要な準備
- 特になし
講義に関連する解説記事・参考文献・図書等
- ITRON資料室「ハードリアルタイムスケジューリング理論入門」(MST‘97 リアルタイムシステム特別セミナー資料,1997年11月) (http://www.ertl.jp/ITRON/DOC/mst97-rt3-ohp.pdf)
- 「組み込み制御システム向け時間駆動分散オブジェクト環境」石郷岡祐,横山孝典,情報処理学会論文誌 48(9),2936-2945,情報処理学会電子図書館オープンアクセス論文(https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=9817&item_no=1&page_id=13&block_id=8)
- 「組み込み制御システムのためのオブジェクト指向コード生成ツール 」 成沢文雄,納谷英光,横山孝典,情報処理学会論文誌 46(5),1306-1317,情報処理学会電子図書館オープンアクセス論文(https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=10639&item_no=1&page_id=13&block_id=8)